全国120か所余にIP電話を導入
厳しい競争が繰り広げられるコンビニエンスストア業界にあって、この数年、ファミリーマートは企業体質の構造改革に継続的に取り組み、好業績を上げている。同社では一層の経営体質の強化のために、日常業務遂行の基盤となる電話回線インフラの再整備に着手。NTT-MEの法人向けIP電話サービス「XePhionコールPro」をベースに、全国120か所余りの拠点を結ぶIP電話網を構築中だ。これによって、通信費と運用コストの大幅な削減が可能になる。
構造改革のなかで電話回線インフラの再整備が大きな課題に
現在、コンビニエンスストア業界では競合チェーンだけでなく、スーパーマーケットなど異業種も含めた厳しい競争が繰り広げられている。こうしたなかで、ファミリーマートは「個店競争力の強化」「商品力の強化」「高品質店の出店」を重点施策に事業を展開、2004年度は3期連続の増収増益や業界トップ水準の通期既存店日商伸び率を達成するなど好業績を上げている。
その背景には、業界ナンバーワンを目指し、企業体質の構造改革へ継続的に取り組んできたことがある。2002年には、それまで6社あった地場有力企業との合弁によるエリアフランチャイズ会社のうち、4社の統合を完了。さらに、2003年にはディストリクト制を採用、店舗展開エリアを経営トップが直轄するディストリクトに分け、大都市圏を中心とする地域のドミナント強化に向けた出店攻勢と既存加盟店への支援を強化した。積極的な事業展開を支える業務の遂行には、コミュニケーション基盤としての通信インフラがきちんと整備されていることが必要だ。
「統合したエリアフランチャイズ会社は電話回線もバラバラで、PBXの保守もそれぞれ別々にやっていました。それを統合して、一元化的に本部で管理し、運用コストを抑えたいと考えました。また、今まで東京池袋本部と関西ディストリクトは専用線で結ぶことで内線化していましたが、そこで発生する通信費の削減と統合したエリアフランチャイズ会社の回線網整備のために、既存ネットワークの見直しが必要でした」と同社システム本部システム企画部システム業務グループマネージャー谷田部克巳氏は語る。
東北から九州まで全国120か所余りを結ぶIP電話網を構築
ファミリーマート設立以来、電話網の保守を担当しているNTT-MEおよびNTT-ME東京北支店(以下NTT-ME)は2001年頃から、こうした問題を解決するため、IP電話サービスの導入を提案していた。これに対し、同社ではIP電話技術も進化し、業務利用が可能な水準に達したと判断、2004年5月にNTT-MEのIP電話サービスの導入を決定した。
「NTT-MEは当社の電話回線を隅から隅まで本当によく理解しています。NTTMEであれば、実状を踏まえたうえで、私たちに最適な全国IP電話網を構築できると考えました」と同社システム本部システム企画部システム技術グループ 北村敏雄氏は説明する。
導入にあたって、まず、今までの電話と変わりなく使えるように、固定電話と同レベルの音質に加えて、内線電話番号をそのまま継続して利用できるようにすることで業務の混乱を防ぎながら、IP電話の利用を定着させていくことにした。また、NTT-MEのオフィスから各拠点の機器をリモート操作できるようにしてメンテナンス体制の一元化とともに運用コストの削減も図っている。さらに、既存のPBXやビジネスホンをできる限り継続利用するとともに、停電時でも使用できるように、全てのPBXおよびVoIPルータにバックアップ用のバッテリーを装備している。固定電話とIP電話の併用は、コスト削減のみならず、リスク分散という点でも期待できる。
2004年7月末には東京池袋本部、1週間後には関西地区の機能が集中している関西ディストリクトでの利用がスタートした。その後、2005年2月末までに、東北から九州まで20か所のディストリクトへの導入が完了、現在、2005年8月末までの予定でディストリクトの下にある100か所余りのエリア事務所への導入を進めている。
構築された全国IP電話網は、NTT-MEの法人向けIP電話サービス「XePhion(ゼフィオン)コールPro」を基盤に、各拠点にはNTT東西の光ブロード回線であるBフレッツを引き込んでPBXと接続、オフィスのビジネスホンで、各拠点間は内線通話として全て無料で通話することができる(図)。
IP電話の利用定着により当初計画前倒しで初期投資費用回収の見通し
現在、進めているエリア事務所への導入は、利用回線の見直しと併せて行われるが、拠点ごとの現地調査や同社への回線構成の提案では、NTT-MEが持つ豊富なノウハウが十分に活かされることで、円滑に進められている。
「空き回線がなくPBXの入れ替えが必要な拠点もあれば、ビジネスホンのボタンが空いていないところもあります。それらを全て調べたうえで新たに構成を見直し、工事ではPBXやビジネスホンの細かな設定まで行う、大変な作業です。NTT-MEにはそれらの全てをとりまとめ、日程調整しながら工事を進めてもらっているので、本当に助かっています」(北村氏)
同社では、電話料金の違いを表にして配布するなど、IP電話の利用促進のためのさまざまな手だてを講じている。本社ではIP電話のかけ方の講習会を開いたり、他の拠点の社員にはNTT-MEがマニュアルを作成して配布する等を行った。その結果、2004年11月頃には利用も定着し、2005年2月には、導入前に比べて、通話料は20%ほど削減された。同社ではエリア事務所への拡大に伴って、通信費はさらに減らすことができると見込んでいる。その結果、当初2年弱と想定していた本社部分の初期投資費用の回収を前倒しで実現できると考えている。
今後、ファミリーマートでは各店舗を結ぶネットワークの統合化やIP化が次の大きな課題になると考えている。「全国IP電話網の構築によって、NTT-MEとの関係は今まで以上に密接なものとなりました。だからこそ、NTT-MEには現場のニーズがどこにあるのかを一緒に考えてもらい、顧客の視点で積極的な提案をしてもらいたいと思います」(谷田部氏)
同社が考える「家族のように親しみ溢れる」コンビニづくりのために、NTT-MEが果たさなければならない役割はますます大きくなることは確実だ。
|